Windows 98 起動ディスク (EBD) の新機能

Windows 98 起動ディスクは、従来の起動ディスクに比べ著しく変わりました。 
特徴を以下に説明します。

- マルチ設定のスタート メニュー
- リアル モード CD-ROM ドライバ
- EBD.CAB ファイル
- RAM ドライブ
- Windows 98 の起動に関する問題
- 起動ディスクにあるツールについて

マルチ設定のスタート メニュー
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新しい Windows 98 起動ディスクを使ってコンピュータを起動すると、標準CD-ROM
ドライバを読み込むオプションや通常のクリーン ブートを選択できる起動メニューが
表示されます。

起動オプションを選択すると、 CONFIG.SYS ファイルが正しい CD-ROM ドライバ
を読み込み(CD-ROM ドライバが選択された場合)、2MB の RAM ドライブを読
み込みます。 RAM ドライブは、一般的なトラブルシューティングに必要な診断ツ
ールの格納に使用されます。


* 注意 *
RAM ドライブが読み込まれると、CD-ROM のドライブ文字が1つずれ込む可能
性があります。たとえば、CD-ROM のドライブ文字が通常 D: の場合、それがドラ
イブ E: に変わります。


リアルモード CD-ROM サポート
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Windows 98 起動ディスクには、汎用 ATAPI IDE および SCSI CD-ROM ドライ
バが含まれており、Windows 98 の GUI が使用できない時でも DOS モードで 
CD-ROM を動作させることができます。

* 注意 *
すべての CD-ROM がサポートされているわけではありません。 起動ディスクにある
ドライバで CD-ROM が動作しない場合は、ハードウェア付属のドライバを使用し
てください。

EBD.CAB ファイル
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圧縮ファイルである EBD.CAB に格納されているファイルは、起動処理中に RAM
ドライブに抽出されます。下の一覧は、 EBD.CAB に含まれるファイルの説明で
す。

ファイル 機能 
Attrib.exe ファイルの属性を変更するコマンド 
Chkdsk.exe 簡単なディスク ステータス ツール 
Debug.exe デバッグ ユーティリティ 
Edit.com リアルモード テキスト エディタ 
Ext.exe 新しいファイル抽出ユーティリティ 
Format.com ディスク フォーマット ツール 
Mscdex.exe MS-DOS 用 Microsoft CD-ROM ドライブ拡張ユーティリティ 
Scandisk.exe ディスク ステータス ツール 
Scandisk.ini ディスク ステータス ツールの設定ファイル 
Sys.com システムを転送し、ディスクが起動できるようにするコマンド


RAM ドライブの作成
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RAM ドライブは、 CONFIG.SYS ファイルの処理中に、2MB のサイズで作成され
ます。 RAM ドライブは、物理ハード ディスクをエミュレートするためにシステム 
RAM を使って作成されます。RAM ドライブがなければ、すべての診断ツールおよ
び CD-ROM ドライバを 1 枚の 1.44MB フロッピーディスクに格納することはでき
ません。

*警告*
RAM ドライブは、システム RAM を使って CONFIG.SYS ファイル処理中に作成さ
れるため、一時的なドライブとして使用されます。 コンピュータを再起動すると、
このドライブはなくなります。


EBD ファイルのコンポーネント一覧
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下の一覧は起動ディスクにある各ファイルの機能の説明です。

ファイル 機能
Aspi2dos.sys リアルモード Adaptec CD-ROM ドライバ 
Aspi4dos.sys リアルモード Adaptec CD-ROM ドライバ 
Aspi8dos.sys リアルモード Adaptec CD-ROM ドライバ 
Aspi8u2.sys リアルモード Adaptec CD-ROM ドライバ
Aspicd.sys リアルモード Adaptec CD-ROM ドライバ
Autoexec.bat 起動バッチファイル 
Btcdrom.sys Mylex/BusLogic CD-ROM ドライバ 
Btdosm.sys Mylex/BusLogic CD-ROM ドライバ 
Command.com コマンド インタープリタ
Config.sys デバイス ドライバ を読み込むファイル
Drvspace.bin Microsoft ドライブスペース圧縮ドライバ 
Ebd.cab ファイル抽出ユーティリティを含んだ CAB ファイル 
Ebd.sys ESD を識別するファイル
Extract.exe EBD.CAB を展開するツール
Fdisk.exe ディスク パーティション ツール
Findramd.exe 起動時に RAM ドライブを見つけるユーティリティ 
Flashpt.sys Mylex/BusLogic CD-ROM ドライバ 
Himem.sys XMS メモリ マネージャ 
Io.sys システム ブート ファイル 
Msdos.sys 起動オプション情報 (パス名、マルチブート機能など) 
Oakcdrom.sys ATAPI CD-ROM ドライブ用汎用デバイス ドライバ
Ramdrive.sys 起動中に RAM ドライブを作成するファイル 
Setramd.bat RAM ドライブとして使用可能なドライブを検索するコマンド


Windows 98 の起動に関する問題
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ここでは Windows 98 起動ディスク使用時のトラブルシューティングに関して説明
しています。 これはコンピュータをSafeモードにし、Windows 98 ヘルプを参照して
ユーザーにさらなるトラブルシューティングを行ってもらうためのステップです。

コンピュータを Safe モードで起動する
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Windows 98 が正しく起動しなかった場合、トラブルシューティングの最初のス
テップは Safe モードでコンピュータを起動することです。 Safe モードで起動する
と、[スタート] メニューの [ヘルプ] から Windows 98 のヘルプが利用できます。

>>>コンピュータを Safe モードで起動するには:

1. 起動ディスクを取り出し、コンピュータを再起動します。 再起動してから
Windows の 読み込みが始まるまでの間に Ctrl キーを押し、そのままの状態
で Microsoft Windows 98 起動メニューが表示されるのを待ちます。 
(Windows 95 を実行している場合は、 "Starting Windows 95" のメッ
セージが表示されたら、F8 キーを押します)

2. 起動メニューから Safe モードを選択します。

Safe モードでコンピュータを起動したら、Windows 98 ヘルプを参照して、問題を
解決してください。

セットアップに失敗し、コンピュータが起動しない場合
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ここでは Windows 98 セットアップに失敗した場合のトラブルシューティングに関し
て説明しています。 ここに記述されていないセットアップ問題に関してはWindows 98 
CD の Win98 フォルダまたはセットアップ ディスク 1 にある setup.txt を参照し
てください。

セットアップ実行中に次のようなエラー メッセージが表示された場合、起動ドライブ
のシステム ファイルを更新する必要があります。 SYS コマンドを使って必要なファ
イルをコンピュータに転送してください。

* 無効なシステム ディスクです 
* MS-DOS のバージョンが違います 
* COMMAND.COM が見つからないか、または壊れています
* 圧縮ドライバ エラーが発生しました

注意 : 圧縮ソフトウェアを読み込んでいる場合、ホスト ドライブのドライブ文字を
確認してください (通常は H:)。 圧縮ソフトウェアを読み込んでいない場合は、
SYS コマンドを実行して C: ドライブにシステム ファイルを転送してください。

>>>SYS コマンドを実行して C: ドライブにシステム ファイルを転送するには:

1. Windows 98 起動ディスクを使ってコンピュータを再起動します。 起動メニュー
のオプション 2 を選び、Enter キーを押します。

2. A:\ プロンプトで次のコマンドを入力します。
SYS X: (ホスト ドライブもしくは起動ドライブが X の場合)

3. システムの転送に成功すると、 "システムが転送されました" というメッセージが
表示されます。 表示されない場合は、正しいドライブ文字を指定しているどう
か確認してください。

重要 : ハード ドライブ付属のソフトウェアをインストールしている場合、関連ドキュ
メントにあるフロッピー ディスクを使ってコンピュータを起動することに関する記述を
確認してください。

ウィルス対策ソフトウェアがインストールされている場合
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セットアップ中にウィルス対策ソフトウェアが実行されると、システム ファイルが正しく
更新されないことがあります。 ウィルス対策ソフトウェアを使用不可にするかアンイ
ンストールしてから、セットアップを実行してください。

注意 : コンピュータにビルトイン ウィルス対策ソフトウェアがある場合は、セット
アップを実行する前にそのプログラムを使用不可にしてください。 使用可能な状
態のままセットアップを実行すると、マスター ブート レコードが変更されたという警
告メッセージが表示されることがあります。 このようなメッセージが表示された場合
は、必ず [はい] を選択し変更を受け入れてください。 [いいえ] を選択すると、
セットアップが応答しなくなることがあります。

ハードウェア検出中にコンピュータが応答しなくなった場合
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ハードウェア検出中にコンピュータが応答しなくなった場合は、一旦コンピュータの
電源を切り、2-3秒待ってからもう一度電源を入れてください。 その後再び応答しな
くなったら、この操作を繰り返してください。

注意 : 電源を切るには、コンピュータの電源スイッチを使用してください。 リセット
ボタンや Ctrl+Alt+Del は使用しないでください。

それでも問題が解決しない場合は、Safe モードでコンピュータを再起動し、
Windows 98 ヘルプのハード ウェア検出の欄を参照して問題を解決してください。

圧縮ドライブがマウントされていない場合
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圧縮ドライブにアクセスできなくなる理由はいくつか考えられます。 Windows ディレ
クトリがマウントされていない圧縮ドライブにある場合、Windows を起動することは
できません。 この問題がある可能性がある場合は、スキャンディスクを実行して問
題を修正してください。

A:\ プロンプトから次のコマンドを入力します :

Scandisk /Mount X:

ここで X は圧縮ドライブのドライブ文字です。 スキャンディスクはエラーがあれば
それを修正し、ドライブをマウントします。

メモリ不足のため圧縮ドライブをチェックできない場合は、セットアップ ディスク 1 
または Windows 98 CD にある SETUP.TXT の "MS-DOS から Windows 98 をインス
トールする" の項目を参照してください。


起動ディスクにあるツールについて 
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ここでは Windows 98 起動ディスクに含まれているユーティリティの使い方について
説明します。 ツールの実行方法は以下の通りです。

1. Windows 98 起動ディスクをフロッピー ディスク ドライブに挿入し、コンピュー
タを再起動します。

2. 起動メニューでオプション 1 または 2 を選択し、Enter キーを押します。

3. MS-DOS コマンド プロンプト (A:\) で実行したいユーティリティの名前を入力
し、Enter キーを押します。


SCANDISK.EXE と CHKDSK.EXE
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SCANDISK.EXE と CHKDSK.EXE はハード ディスクのエラーを検出する便利なプログラ
ムです。 ハード ディスクにファイル エラーなどの問題があると思われる場合、
スキャンディスクを実行してエラーを修正してください。

すべてのハード ディスクのエラーを検査するには、次のコマンドを入力します :

Scandisk /all 

クラスタ スキャンを実行して、ハード ディスクの完全なチェックを行うには、次の
コマンドを入力します :

Scandisk /all /Surface

注意 :
長いファイル名 (LFN) に関するエラーが表示されることがあります。 MS-DOS 
バージョンのスキャンディスクは、LFN の問題を検出することはできますが、修正す
ることはできません。 LFN の問題を解決するには、Windows 版のスキャンディスク
を実行する必要があります。

圧縮ドライブがある場合、メモリ不足のため圧縮ドライブを検査できないという
エラー メッセージが表示されることがあります。 この問題を解決するには、
Windows 98 起動ディスクでコンピュータを再起動し、オプション 2 を選択してくだ
さい。 こうすると、メモリ不足エラーが発生しないことがあります。

スキャンディスクがドライブの検査を行えない場合は、CHKDSK.EXE を使用してみて
ください。 CHKDSK はクロス リンク ファイルやアロケーション ユニットを検査し
ます。



SYS.COM
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SYS.EXE はひとつのディスクから別のディスクへシステム ファイルをコピーするコマン
ドです。 コンピュータが起動するためには、これらのシステム ファイルが必要です。

>>>SYS コマンドを実行して C ドライブにシステム ファイルを転送するには : 

SYS C: 

システムの転送に成功すると、 "システムが転送されました" というメッセージが
表示されます。

SYS コマンドを実行すると、次のファイルがハード ディスクにコピーされます :

* IO.SYS
* MSDOS.SYS
* COMMAND.COM

SYS C: コマンドが正しく機能しない場合で、圧縮ドライブがある場合は、ホストの
ドライブ文字を指定する必要があるかもしれません。 DBLSPACE および
DRVSPACE プログラムでは、通常 H ドライブがホスト ドライブになります。 どの
ドライブがホストであるかわからない場合は、スキャンディスクを実行し、表示され
る圧縮ドライブに関するメッセージを参照してください。


FDISK.EXE と FORMAT.EXE
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FDISK と FORMAT は新しいハード ディスクをインストールしたり、既存のディスク
をクリーンにしたりする際に使用するユーティリティです。 FDISK はハード ディスクに
パーティションを作成し、FORMAT はそのパーティションを使用可能な状態にしま
す。

警告 : FDISK の使用方法を誤ると、ハード ディスクのデータを失うことになりま
す。 FDISK の使い方がよくわからない場合は、コンピュータのドキュメントを参照し
てください。

FDISK を使って 512 MB 以上のパーティションを作成すると、そのドライブを
FAT32 形式に変換することができます。 FAT32 形式に変換すると、クラスタ 
サイズが小さくなり、2 GB 以上の大容量ドライブにパーティションを作成できるよう
になります。

現在のドライブの状態を確認するには、MS-DOS コマンド プロンプトから 
FDISK /STATUS と入力します。

FDISK を使ってパーティションを作成したら、次は FORMAT コマンドを使ってその
パーティションをフォーマットします。 コマンドは次の通りです。

FORMAT X:

ここで X はフォーマットするドライブのドライブ文字です。

C ドライブをフォーマットしたい場合は、このドライブをシステム ディスクにし、コン
ピュータを起動できる状態にする必要があります。 MS-DOS コマンド ラインから
次のように /s オプションをつけて入力します。

FORMAT C: /s

ドライブのフォーマット後に、システム起動ファイルが自動的にドライブにコピー
されます。


CD-ROM ドライバ
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Windows 98 起動ディスクには、汎用 CD-ROM ドライバが含まれています。 
これらのドライバは IDE ATAPI および SCSI CD-ROM モデルのほとんどに対応し
ています。

使用している CD-ROM ドライブが正しく動作しない場合は、ハードウェア付属の
ドライバを使用してください。

CD-ROM ドライバで確認されている問題は次の通りです :

1. サウンド カードに接続されている CD-ROM ドライブは正しく動作しない可能
性があります。

2. 初期の、各会社独自の CD-ROM ドライブ (例 : Mitsumi、Panasonic、Sony
など) は正しく動作しない可能性があります。 また旧式の IDE コントローラも同
様です。

3. 起動ディスクの SCSI ドライバがサポートする CD-ROM は主にAdaptec、
Buslogic そして Mylex アダプタです。 その他の一部の SCSI CD-ROM ドライ
ブは正しく動作しないことがあります。

4. 使用している SCSI コントローラが既定以外の I/O の範囲に設定されている
場合、SCSI カードが検出されないことがあります。 SCSI ドライバのドキュメント
を参照して、既定の I/O の範囲を確認してください。

5. PC カード (PCMCIA) 用の CD-ROM ドライバは含まれていません。



EXT.EXE
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EXT は Extract.exe と併用して Windows 98 ファイルをハード ディスクに抽出す
るために使用するツールです。 紛失したファイルや壊れたファイルを置き換えるため
に使用することもできます。

セットアップ中に欠落ファイルが見つかった場合や、一般保護エラーやページ違反
などの実行エラーが発生した場合にたいへん便利です。 

>>>Ext.exe を使ってファイルを抽出するには : 

1. 起動ディスクを使ってコンピュータを起動します。 オプション 1 を選択して
Enter キーを押します。

2. Windows 98 CD がドライブに入っていることを確認します。

3. MS-DOS コマンド プロンプトで EXT と入力し、Enter キーを押します。

4. 指示に従って Windows 98 セットアップ ファイルの場所、抽出したいファイル、
抽出場所を指定します。

注意 :
CD-ROM ドライブのドライブ文字が E の場合、セットアップ ファイルの場所は 
E:\WIN98 になります。 

一つ以上のファイルを抽出する場合には、ワイルド カード文字を使用することもで
きます。